和歌 短歌散らし書き3. ~さあ自由に散らそう

とは言ったものの真似するのも難しいですが・・・

まずは日本習字普及協会「硬筆書写技能検定1.2級合格のポイント」
平成28年度版 和歌課題1級模範例より3点。

狩田巻山先生の手本なのか、平成9年度改定でお弟子さんが書かれたのかは不明。

「朝霞たなびく野辺にあしひきの山霍公鳥いつか来鳴かむ」 万葉短歌

万葉短歌ペン字 

「花に見し昨日の春の面影もいつしかかはる夏木立かな」
   (前大僧正頼意・新葉和歌集)

2種のレイアウトで

ペン字和歌ペン字和歌

3つとも手本見ると全ての行が微妙に右に流れてるんですが
再現できませんでした。

線はきれいなんですが、レイアウトはあまり面白くはないかな。

あくまでも検定用の作品例ですから基本的なレイアウトにしているんでしょう。

3つ目の作品の「面影」の「も」はそのまま書きましたが
何の字の省略形かわからない。(追記 「无」みたいです。)

で、こっちはNHK学園のペン字検定過去問

お馴染み、蓑輪東壽先生の美しい散らしです。

が、難しくて完コピとは程遠い出来です。

「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」(柿本人麿)

ペン字 柿本人麿

「住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ」(藤原敏行朝臣)

ペン字 藤原朝臣

「今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな」(素性法師)

ペン字 素性法師

「誰をかもしる人にせむ高砂の松もむかしの友ならなくに」(藤原興風)

ペン字 古今和歌集

ねえ難しいでしょう?

行が接近してる部分の文字の配置が本当に難しい。

冒頭の日本習字普及協会「硬筆書写技能検定1.2級合格のポイント」見てたら
仮名書の古典 粘葉本和漢朗詠集や元永本古今集なんかがバンバン出てきてるんで、ペン字も仮名の古典書いた方がいいのかなと思ってます。

硬筆書写技能検定 ちょっと内容古すぎない?という気もしますが。

和歌 短歌散らし書き2.〜分割したレイアウトで

2分割のレイアウト。

「木の間より洩り来る月の影見れば 心づくしの秋は来にけり」
(古今集 読み人知らず) 上条信山先生手本

ペン字 古今集

「もれくる」になってますが手本のまま書きました。

割と入門者向きに書いてくださってるといいますか
このくらいから始めると入りやすいですよね。

次も信山先生。

「幾山河こえさりゆかばさびしさの はてなむ国ぞ けふも旅ゆく」
(若山牧水)

ペン字 若山牧水

つぎはお馴染み蓑輪先生のペン字検定課題過去問手本から2つ。

「心当てに 折らばや折らむ 初霜のおきまどはせる 白菊の花」
  凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

ペン字 凡河内躬恒

流麗! こんな風に書きたいねえ

2分割とはいっても蓑輪手本は一筋縄ではいかない。

1、2行目の間の取り方も絶妙で完全には再現できない。

次はシンメトリー っぽいですが、一応2分割ということにして、

「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣船」
(古今集 参議篁)

ペン字 古今集 参議篁

2行目の「八十島」を引き離して粗密をだしてますが
自分ではなかなかこういう思い切った字間の取り方できないんですよね。

3分割のレイアウト。

これも蓑輪先生の過去問より

「有明のつれなく見えし別れより 暁計うきものはなし」
(壬生忠岑(みぶのただみね) 古今和歌集)

ペン字 壬生忠岑 古今和歌集

いやあ 難度が上がってきましたねえ

真似するの難しくなってきました。

仮名書ですよね。

書き出しの「あ」はいきなりこんな形で書き出せないなあ…

でも まだまだ こんなものではないんです。
次回はもっと真似しづらいのを書きます。真似できませんが・・・

和歌.短歌 散らし書き~まずは真っ直ぐ。

和歌を4行で

ペン字検定課題の過去問から2点

例によって蓑輪東壽先生手本

「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいずこに月宿るらむ」
(古今和歌集 清原深養父)ペン字 古今和歌集

「山里はふゆぞさびしさまさりける人めもくさもかれぬとおもへば」
(古今和歌集 源 宗于)

ペン字 古今和歌集

蓑輪先生の作品は仮名書をペン字で書いた感じですよね。

「山里」「ふゆぞ」なんか象徴的ですけど、文字の重心を左右に振って
線をグルーブさせてゆきます。

古典の和歌で草仮名を使わないと出せないラインです。

続いて 実用字に近い 山下静雨先生手本 良寛の歌

ペン字 良寛の短歌

1、2行目の間隔が少し狭くなりました。

まさに直球の書き方、整った文字の美しさを表現するにはいいですが
歌の情感が出ません。良寛の歌ですからねえ。

漢字が多くないと、この書き方はつらいかも。

和歌を5行で 

金久保雲渓先生手本

「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」
(古今集 藤原敏行朝臣)

ペン字 古今集 藤原朝臣

短歌を6行で

同じく金久保雲渓先生手本

「瓶にさす藤の花ぶさみじかければ たたみの上にとどかざりけり」(正岡子規)

ペン字 正岡子規短歌

この2点はやっぱり男性の字です。

古典で草仮名も使いまくってるんですが、仮名書とは趣が違います。

ペン字がホームの人の表現だなと感じますね。

五段の短歌課題は北原白秋だから、最後の正岡子規が一番近いんですけども
検定手本は蓑輪先生ですからね。蓑輪先生の短歌手本がありゃ一番いいんだけど
全部 古典の和歌なんだもんなあ。

そこまで考えて出してんのかなあ。

次回はもう少し分割したレイアウトの作品を書きます。

よれてんじゃね〜ぞ 横画特訓。

Sis.Angerばかり聴いてたんで
こんなタイトルになりました。

よれるんすよねえ    横画。

田中鳴舟「みるみる字が上手くなる本」によりますと
線が震えるのは慎重になりすぎ、ペンを楽に持って思い切りよく・・・
らしいんですが

手の固定位置が悪いのか右側がつまってよれる気がします。

書く位置を右にずらして親指で押し出すようにすると書きやすくなるんですが
視野がずれるので形を掴みにくくなる。

書いてコツをつかんでいくしかないかと
石川芳雲「ポケットペン字字典」から横画の多い文字を拾ってみました。

まずウォームアップ

ペン字 横画

1.8cmマスに平行線 0.5のボールペンで23,4本が限界。

ペン字 横画 漢字

ペン字 横画 漢字

このサイズだと 目立ちませんが 1cmマスだと

ペン字 横画 漢字

横はよれよれ 縦までよれる。

こんな小さい字書けるか〜〜っても、実用ではこのサイズが基本ですからねえ。

楷書は、それほど用途がないのが救い?ですが厳しい現実を突き付けられました。

ひらがな手本まとめ

やっぱり仮名に難有りというのがハッキリしてきましたので
ここらで改めて仮名を見直そうということで今までの手本をまとめてみました。

上から
和田康子(楷書)
箕輪東壽(楷書)
和田康子(行書)
上條信山
田中鳴舟
山下静雨
石川芳雲
金久保雲渓(2種)
(敬称略)

ひらがな手本 ひらがな手本 ひらがな手本 ひらがな手本 ひらがな手本 ひらがな手本

上條先生から金久保先生は楷書、行書を区別してません。

そもそも かなは漢字の草書体なんで
かな楷書というのが無理ありますよね。

金久保先生は書く文字ごとに表情がかわるので
2種ピックアップしました。

田中、山下両先生の字は同一人物かと思うくらい似てます。

「ま」で縦棒が中心を通るのと右寄りになる字があるのが
ちょっと気になる程度で、特に発見はなかったですが
サンプル少ない「ゑ」と「ゐ」が集められたので良かった。

ボールペン SARASA CLIP 0.5