旧字体とその書写体

前回までの草書に引き続いての理論試験対策です。

旧字体は昭和24年当用漢字表が告示された時に
定義された「新字体」(今、我々が書いてる字)
それ以前に使われていた字ということになりますが

要するに昔の字  文化庁の常用漢字表 で( )内に書いてある字です。

書写体は日本習字普及協会「常用漢字の六体」によりますと
「古法帖に書かれている伝統的な楷書で字典の活字体にはない字体」

この本では隋唐時代中心に集められてるみたいですが、明確な決まりはないんですよね。

ペン字検定は元検定協会会長の狩田巻山先生基準でいいと思うんで
この本をベースにやっていきます。

旧字体

旧字体 ペン字

硬筆書写技能検定一級、準一級の過去問 で見ると
「晝(昼)」「豫(予)」はよく出てます。

旧字体 ペン字

ペン字では大半初めて書くんで字崩れてて申し訳ない。

だいたい読めますよね。

ここまでは書写体が載ってないもの。

書写体が入ってくるとややこしい。

どっちがどっちかわからん。

ここからは 上段が旧字体、下段がその書写体。

旧字体 ペン字

「鹽(塩)」は出そうだけど意外と出てない。
これ出たら、なんか出題者の悪意感じるもんね。

むしろ「関」「壓(圧)」要注意。書写体でも出てる。

旧字体 ペン字

ここは重要な字が多い。 「旧」はよく出る。「缺(欠)」は読みにくい。

旧字体 ペン字

過去問では
「廣(広)」は書写体の字(中が黄)が旧字体として扱われてる。

旧字体の書写体も旧字体なんで間違いではないです。

「國(国)」「處(処)」は頻出。

旧字体 ペン字

「戦」「體(体)」は書写体のほうもマーク。特に身へんのやつ。

「當(当)」「擔(担)」よくでてます。

旧字体 書写体 ペン字

「庁」は旧字、書写ともに要注意。

旧字体 書写体 ペン字

「毎」って旧字だと中が「母」シンプルだけど意外と迷う。

「歩」は書写体のほう注意。

「乱」は「乳」と読まないように。

旧字体 書写体 ペン字

抜かしたと思って追加したら「當」と「舉」は上で書いてた。

「舎」は「常用漢字の六体」には載ってないんですが硬筆書写技能検定には出てるんで追加しておきます。

NHK学園ペン字検定は「常用漢字の六体」からの出題だと思うんで
出ないでしょう。

以上 旧字体でした。

次回は今回と合わせて千字以上ある書写体の残りを整理します。

こんなのペン字では読めりゃいいと思うんですけどね

書かせる試験があるんですよねえ 硬筆書写技能検定一級、準一級。

やっぱり古すぎる?

漢字草書 4. 似てる字まとめ&検定問題

似てる字をまとめてみました。

似てる字 漢字草書

上の2列はけっこう厄介ですね。

「失」「矢」は殆ど同じ 単体での判別は無理。

「茅」は「矛」が右グループに近いのでそこに配置しました。

「貴」は前回言った「大」=「貝」の代表例。

似てる字 漢字草書

「緑」「縁」は、これも判別不能。

赤カッコの点付きの字は点無しバージョンもあり。

「浅」で点をつける場合の位置は資料ではすべてこの横の位置。

似てる字 漢字草書

似てる字 漢字草書

「備」「満」「将」「得」は毛筆ではお馴染み。

並べてみると違いがわかるけど一個だけ出されるとどっちか迷う。

似てる字 漢字草書

「候」も、にんべんの方だけ出されるとどっちかわからんね。

以上。

この程度、見分けられるとけっこう読めると思いますよ。

では実践 硬筆書写技能検定 2級第九問&1級第八問
「草書を読む」 ここ数年の過去問。
(参考 日本習字普及協会 1、2級合格のポイント)

2級は二字熟語

漢字草書 ペン字検定2級課題

1級は一文字。

漢字草書 ペン字検定1級課題

ちなみに準一級は書道の草書 十七帖や書譜の字を読む課題です。

 

答え

意見、報告、伝説、言葉、指導、就職、家族、感激

親類、満足、文鎮、帰還、悲願、道徳、樹氷、行楽

朝、愛、議、前、約、保、親、啓

教、其、浅、数、師、朝、歌、基

服、豊、参、海、発、解、制、流

「朝」が2つ入ってますが、いろんな書き方があるんで厄介。

「道徳」の「徳」も前回書いた形とはちがいます。

草書はペン字では草仮名ぐらいしか書かないかもしれませんが
毛筆では必修といってもいいですから、ペン字で基本を整理しておくのも無駄でないと思いますよ。

 

 

漢字草書 3. それほどでもない上下の部首。

最後はかんむり、しんにょうなど上下のパーツ。

これは意外と推察しやすい。

かんむりは「つ」っぽいのがいっぱいあって、そこが一番迷うとこですが
他の部分の特徴で判断できる。

まずは上パーツから

漢字草書 かんむり

漢字草書 かんむり

「登」「祭」「盤」とか、最後のやつは理論試験には出がち。

漢字草書 かんむり

「比」っぽいのは要注意。

「望」「堅」「皆」いろんな書き方があって迷う。
元の字は画数多くてかちっとしたイメージなのに草書だとすごくシンプル。
パッと見、結びつかない。

次 下パーツ

漢字草書 下部首

一本線のにょうになるのは「しんにょう」と「えんにょう」だけですね。

漢字草書 下部首

「大」っぽいやつは、すぐ大と見てしまいがち

まずは「貝」だと見るくせをつけとくといい。

以上3回にわたって草書のパーツを整理してみました。

参考資料はともに日本習字普及協会発行 狩田巻山著
「硬筆書写技能検定 1・2級合格のポイント」
&「常用漢字の六体」(NHK学園 書道、ペン字検定師範試験 推奨資料)

今回は分類から漏れた単純な形の文字とよく見るので丸覚えしたほうが
いい文字をかいてみました。

ペン字 漢字草書 サンプル

「愛」「外」「感」「恐」「慶」「使」「常」「上」

「異」「楽」「帰」「郷」「劇」「寺」「盛」「長」

「下」「官」「巨」「敬」「交」「受」「聖」「鳥」

「登」「徳」「馬」「北」「老」「毎」「発」「足」

愛、徳、聖はいろんな書き方、書き順があって要注意。

 

次回で間違えやすい字をまとめます。

 

漢字草書 2. ややこしい旁

草書の旁は同じ字でも省略の仕方が様々で、まとめるのが難しいんですが
強引にやってみました。

漢字草書の旁

ピンクが原型です。

は偏とセットで推察しないと判別できない。

漢字草書の旁

が・・・

「る」「ろ」「う」「つ」で書かれたらお手上げだなこりゃ。

漢字草書の旁

なんかホッとする〜〜〜〜ッ

ここは細かい違い見たら判別できそう。

「手」と「年」は偏じゃないんですが紛らわしいんで載せときます。

「年」のほうが屈折が一つ多いんですが、ややこしいのは省略して同型に見えるバージョンもあるってこと。

草書はそういうのが本当に多い。

漢字草書の旁

漢字草書の旁

どう?17 それぞれ字数は多くないんで微妙な差を見分けるしかないッス。

漢字草書の旁

20は似てて紛らわしい3つを比較できるよう並べときました。

旁の字は単体で文字になってるものもけっこうありますし
旁だけじゃなく上や下に置かれることも多いんで
崩し方を知っておくと応用がきく

・・・かもしれない。

さあ これでだいぶ読めるはず 今回も毛筆では比較的よく見る字です。

漢字草書のペン字

例によって答えは下のほうに。

はあ〜〜〜〜〜〜〜 もうやんなってきたでしょ?

でも まだあるんですよ 次回 上下のパーツ。

 

衛、将、婦、満、緑(縁も同型)、献、招、就

歌、散、紙、何、顔、期、許、敬

行、始、細、昭、湯、論、龍、朝

就と龍は19のように尾を上にはねると点がつき
左下に払うと点は無しとなってます。

元の字を考えると当たり前といえば当たり前。

 

 

参考画像

コメント中に画像貼れませんでしたので、ここに貼ります。

上記問題での「期」についての参考資料です。

期の草書

漢字草書1.紛らわしい偏

草書をペン字で書く機会は古典の和歌か俳句ぐらいですが
検定の理論問題では不可欠ですので、ちょっと整理しておこうと思います。

先ずは読めないことには始まりません。

が、とにかく紛らわしい。

偏などは一本線だらけで何偏か区別つかない。

でも逆に言えば偏さえ推察できれば結構字を絞り込めるんで
区別しづらいややこしい偏をまとめてみます。

ペン字 漢字草書の偏

のさんずい偏はペン字では点のついた2画のバージョンが多いですが
書道では一本線もけっこう見られます。

ごんべんはのほうが一般的。

の「郎」「改」の偏と次のの「即」の偏は本当に紛らわしい。

ペン字 漢字草書の偏

は下の方がゴチャゴチャしてますが類似形で載せた字は微妙な違いを覚えておけば字数はそれほど多くないので区別できます。

それは次の6、8も同じ。でもが一番ややこしいかも。

ペン字 漢字草書の偏

ペン字 漢字草書の偏

ペン字 漢字草書の偏

12の3つ目は見つかったの「邪」だけ。旁の画数が多い場合は
バランス上あんまり省略されないようです。

こんなところですかね。

では上の偏を使った字を書いてみます。

書道ではよく書く草書としてはけっこうメジャーな字です。

読めますか?

漢字草書 ペン字

答えは下の方に書いときます。

読めなかった人は次回

旁編で。

後、陽、紅、詩、謝、純、徐、残

転、臨、路、報、話、軽、郎、師

即、移、判、致、務、彩、能、体(體)